顛末記

その男は突然現れた。
スラリと高身長、履き慣らしたジーンズにおしゃれ眼鏡。白髪混じりだが潤沢な頭髪。

私は一瞬にして思った。シティーボーイが来たと。

彼は慣れた手つきで名刺を取り出し、こう述べた。
「突然スイマセン、ビーエフエムです」
ビーエフエム?   
BeFM!ラジオマン!やはり彼はシティーボーイだったのだ。

その彼はネット記事用に取材したいのだと言う。さらにBeFMでも紹介されるとのこと。
NO宣伝で2ヶ月やってきた当店のこと、この場合はなんと言ったらいいのだろうか。
渡りに船。願ったり叶ったり。飛んで火に入る夏の虫。(違うか)
兎に角、マイにとってビッグなチャンスに間違いなかった。
一瞬にして僕の心はさんざめき、その時のお客様のオーダー品「コンビーフのパテ&イングリッシュマフィン」を震える手でサーブした。

シティーボーイはこの場でコメントを録音していくと言った。
店主自身の店紹介か、お客様のコメントでもいいと。

話が急過ぎるよ! ワイの南部弁恥ずい!歯を磨いてくれば良かった!
などと既にアタイは平静を失っており、結果たまたま居合わせた常連様をハートランド1本で買収したのだった。

ここまで時間にして約20分。思わず一人称がバラバラになるほどの狼狽ぶりなのだ。
結果は既報の「八戸経済新聞」の記事なのだが、情報がちょいちょい違っていた。しかし「間違いも実際に起こった歴史の一部である」との観点から直さないでおくことにした。
是非来店してみなさんで見つけてください。

後日談として彼から素敵なギフトがあったのだが、それはまた別の機会に。

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